【福乃香（ふくのか）】は芳醇・淡麗・旨口を目指して、山形県の出羽の里と静岡県の誉富士を掛け合わせた福島県が誇る酒米の新品種です。雑味のないキレイな味わいにより、香り高いお酒になるのが特徴。このお米と宮泉さんの醸造技術のコラボに否が応にも期待が高まっています。

まずは香り。控えめながらもフルーティな香りは、ブドウやライチ、バナナなどのニュアンスを感じます。ご堪能いただいた方の中には、「まるで白ワインを飲んでいるよう」とおっしゃる方も。味わいは酸味がしっかりと感じられ、そのあとほのかに嫌味のないキレイな甘さと米の旨味がしっかりと楽しめ、ドライな柑橘系のジュースを飲んでいるかのようです。後味はスパッと切れが良く、わずかですが苦味を感じるようなフィニッシュ。食中酒としては完璧で「これに勝るお酒はないのではないか」と個人的にはそう思えるほどの美味しさです。自信を持ってオススメします。宮泉は基本的に福島県内限定流通の少量生産のお酒です。贈答用や自分へのご褒美に、希少な一本をいかがでしょうか？

2020年に開催された「インターナショナル・サケ・チャレンジ」の純米酒部門において【会津宮泉（あいづみやいずみ） 純米酒】が最高賞を獲得。限定品ではなく、通常商品で受賞したことで【会津宮泉】の確かな技術力が証明され、また1つ大きなトロフィーを獲得しました。

また、数ある日本酒コンテストのなかで、もっとも出品数の多い「SAKE COMPETITION」にも出品。全8部門のうち純米酒部門は出品数最大の部門です。同じ蔵元による【冩樂（しゃらく）】は2014年の「SAKE COMPETITION」で、純米酒と純米吟醸酒の両部門で1位に輝き、一躍脚光を浴びました。そして、2018年に開催された「SAKE COMPETITION」の純米酒部門では同じ蔵元の【会津宮泉】が1位、【冩樂】が5位になりました。多くの酒蔵が主力銘柄のほかに伝統的な地元向けの銘柄をもっていますが、それを持たずして1位に輝くのはとても珍しいことです。福島県会津若松市にある宮泉銘醸は、幾多の酒蔵がしのぎを削る純米酒部門で1位を2度、しかも二枚看板である【冩樂】【会津宮泉】の両銘柄で栄冠を獲得しました。

3代目・宮森泰弘さんの長男として生まれた現社長の義弘氏は2007年シーズンから、純米酒と純米吟醸酒をみずからの手で造ることを決意。そんな時、同じ会津若松市にある蔵元が廃業することになってしまい、「銘柄を引き取ってほしい」という話になりました。そこで、その蔵の【冩樂】を継承し、宮泉銘醸の新ブランドとしたのです。ここから【冩樂】の製造責任者は義弘氏、【会津宮泉】はそれまでの杜氏が引き続き担うという、2人杜氏の体制で酒造りをしていくこととなります。

そのあと【寫楽】は全国的人気ブランドとなり、【冩樂】の売上が伸びる一方で、【会津宮泉】は10年前と変わらない状態でした。製造量を徐々に減らして、【冩樂】の酒蔵にしてしまう選択肢もあったそうです。そして2012年、【会津宮泉】の杜氏が北海道の酒蔵へ移籍することを機に、義弘氏が酒造りのすべてを統括することになります。「酒蔵の屋台骨だった【会津宮泉】を守り続けてきた杜氏や蔵人、そして蔵元への感謝を忘れてはならない。恩返しをするつもりで【会津宮泉】を【冩樂】に負けないお酒に育てる」と、義弘氏は蔵人に宣言しました。それから、酒造りの全行程をすべて【冩樂】と同じレベルに切り替えていったのです。

義弘氏によると、現在の【冩樂】と【会津宮泉】はまったく同じレベルにあるのだとか。異なるのは味わいの方向性。【冩樂】は、ふくよかな甘味を酸味が下支えしアクセントを加えた味わいですが、【会津宮泉】は酸味を抑えてさっぱりとした後味と旨味を演出しています。また、【冩樂】には多くのファンがいるため、味わいを再現することが重視されているのに対して、【会津宮泉】は「新たに挑戦したい」という想いを試験的に商品化するために活用する面も強まっています。人気銘柄の【冩樂】は全国の特約店のみで販売しているため、宮泉銘醸に足を運んでも直売所で購入できるのは【会津宮泉】のみです。しかし、日本酒ファンの間では「蔵に行くと、宮泉銘醸の未来を感じられるようなお酒が買える」と密かな話題になっており、【会津宮泉】は【冩樂】に負けず劣らずの評価を得ています。【冩樂】が好きな方も、そうでない方も、日本酒が好きな方ならぜひ一度は飲んでいただきたいお酒、それが【会津宮泉】です。

1,800ml